M&A業務
A: SCS-Invictusグループは世界19ヵ国に拠点を持ち、主に海外進出を目指す日本企業を支援しております。企業がM&Aを行う目的には、事業承継、新規事業への参入、既存事業の強化など様々な理由がありますが、グループのネットワークの強みを生かし日系企業へM&Aサポートを提供しています。またSCS-Invictusグループの100%子会社でQuan AdvisorsというM&Aアドバイザリー業務を専門に取り扱う組織を有しています。 Quan Advisorsが取り扱うM&Aは主にクロスボーダー案件で、特に国内企業による海外企業の買収案件が多いのが特徴です。
A: 国内企業による海外企業のクロスボーダーM&A案件には以下の特徴があります:
例えば、進出国の政情不安から地政学的なリスクが生じることがあります。クロスボーダー案件はクローズまでに比較的長期間を要するケースが多く、新興国など政情が不安定な国では情勢変動によりストラクチャーの変更を迫られることやプロジェクトがストップすることもあります。
国内案件では容易に入手が可能な財務データや情報も、クロスボーダー案件の場合には入手が非常に困難な場合があります。これは対象会社が外国企業であるため、使用言語の壁があるという意味合いも含まれますが、各国の法制度の違いや開示情報の水準の不均一性も大きな要因です。買収対象会社の実態を正確に把握するため、入念なデューデリジェンスが必要となります。
M&Aに対する経験および知見が豊富な企業は少数であり、また、クロスボーダー案件には国内案件には無いリスクも存在します。そのため、案件の検討に時間をかける日系企業が多く、海外企業からは日系企業は意思決定に時間をかけ過ぎていると言われる場合があります。売主の交渉力が強く、複数の投資家候補が入札するようなオークション案件では、優良な案件の場合でも、スケジュールが合わず案件の検討をストップせざるを得ないこともあります。
M&A文化の違いや時差によりコミュニケーションが円滑に行えない場合があります。対象会社との買収金額の交渉において、買手の予想を大幅に上回る金額が提示されたり、株式譲渡契約書などの最終契約書のドラフトで理解が困難なほど売手有利な条件が提示されることがあります。クロスボーダー案件の経験が浅い場合、これらの状況に戸惑うことがありますが、交渉を前提とした提示が当たり前の地域・国も存在し、冷静に交渉を継続することが重要です。また、大型案件などではミーティングの参加者も複数国にまたがる場合もあります。例えば、ヨーロッパの案件において、アメリカ西海岸在住の担当者が関与した案件がありましたが、関係者が日本、ヨーロッパ、アメリカ西海岸、シンガポールにまたがり、非常に苦慮したことがあります。
A: 苦労話をさせると丸1日話せる自信がありますが、紙面スペースが限られてますので手短に(笑)。例えば、クロスボーダー案件は複数ヵ国に関係者が散らばる場合があります。私はSCSトルコ拠点も担当しており、イスタンブールに在住しています。ヨーロッパ案件で意思決定者がヨーロッパのRHQに居られる場合などは問題ありませんが、日本やアメリカ在住の関係者が案件に参加される場合があり、スケジュール調整に手間取り、寝る時間が無くなったことがあります。
A: クロスボーダーM&A案件は多くの困難を伴います。日本人の感覚では到底理解ができない問題も発生しますが、国内案件では味わえないダイナミックさや異文化に深く触れる貴重な機会も得られます。SCS-InvictusグループはM&A Worldwideのメンバーファームです。M&A Worldwideは、ヨーロッパ及びアメリカを中心にクロスボーダーM&Aトランザクションを取り扱うネットワークであり、SCS-Invictusグループは、2011年にM&A Worldwideのアジア域内におけるメンバーとして招待を受けました。M&A Worldwideに所属する他国のM&Aアドバイザーとやり取りすることは様々な文化や人種を理解する機会にもなり非常に刺激的です。また、クロスボーダー案件には国内案件には無いリスクや留意点があります。これらの困難を乗り越え案件が成約した時の達成感は他では得られないのではないでしょうか。もし機会がありましたら、ぜひ一緒に成長しましょう。